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債務超過の解消方法5選|解消しないことで起こる影響について徹底解説

企業経営において、財務の健全性は非常に重要な要素です。その中でも「債務超過」は、企業の存続や信用に大きな影響を与えるため、早期に解消することが求められます。

債務超過の状態が続くと、金融機関からの融資が困難になったり、取引先からの信用を失ったりするリスクが高まります。

しかし、適切な対策を講じることで、財務状況を改善し、健全な経営を取り戻すことは可能です。

本記事では、債務超過の基本的な概念と、解消しない場合のリスク、そして具体的な解消方法について詳しく解説します。

目次

1. 債務超過とは?

債務超過とは、企業の負債(借入金など)が資産(現金・不動産・売掛金など)を上回っている状態を指します。

これは、企業の純資産(資産-負債)がマイナスであることを意味し、財務状況の悪化を示します。

1.債務超過の計算方法

企業の貸借対照表(バランスシート)を用いて、以下の式で計算できます。

純資産 = 総資産 – 総負債

この純資産がマイナスである場合、企業は債務超過に陥っている状態です。

2.一時的な債務超過と慢性的な債務超過

一時的な債務超過:資金調達のタイミングや一時的な損失により発生するが、すぐに改善できる状態。

慢性的な債務超過:長期にわたって経営不振が続き、回復の見込みが低い状態。

慢性的な債務超過になると、企業存続の危機に陥る可能性が高くなります。

2. 債務超過を解消しないことで起こる影響

債務超過を放置すると、企業の財務状況はさらに悪化し、事業継続が困難になるリスクが高まります。具体的な影響として、以下のような問題が発生します。

1.金融機関からの融資が困難になる

金融機関は企業の財務状況を厳しくチェックします。債務超過の状態が続くと、新規融資が受けられなくなったり、既存の借入れに対して返済を求められることがあります。

2.取引先からの信用が低下

債務超過の企業は、取引先から「経営が不安定」と判断され、取引条件が厳しくなる可能性があります。例えば、掛取引が制限され、前払いを求められるなどの影響を受けることがあります。

3.経営者の個人保証リスクの増大

中小企業では、経営者が個人保証を提供して融資を受けていることが多いため、企業が債務超過の状態に陥ると、経営者個人の財産が差し押さえられるリスクがあります。

4.株式上場の維持が困難になる

上場企業の場合、債務超過が続くと、証券取引所の基準に抵触し、最悪の場合、上場廃止のリスクがあります。

5.事業継続が困難になり倒産のリスクが高まる

債務超過が長引くと、資金調達が難しくなり、従業員の給与支払いや仕入れが滞ることで、事業継続が不可能になる可能性があります。

3. 債務超過の解消方法5選

債務超過の解消には、財務改善や経営改革が不可欠です。ここでは、具体的な解決策を5つ紹介します。

1.増資による資本の増強

増資とは、新たに株式を発行して資金を調達し、純資産を増やす方法です。

◆主な手法

・第三者割当増資:新たな投資家や取引先に株式を発行し、資本を増やす。

・公募増資:株式市場を通じて、広く資金を募る。

・経営者や既存株主からの出資:経営者自身が資金を投じることで、財務の健全化を図る。

◆メリット

・即座に純資産が増加し、債務超過を解消できる。

・銀行からの融資が受けやすくなる。

◆デメリット

・既存株主の持株比率が下がる可能性がある。

2.負債の圧縮(リスケジュール・債務免除)

金融機関と交渉し、返済スケジュールの見直しや、一部債務の免除を受ける方法です。

◆主な手法

・リスケジュール(返済条件の変更):返済期間を延長し、月々の負担を軽減。

・債務免除交渉:金融機関や取引先に、一部債務の免除を依頼。

◆メリット

・月々の支払い負担を軽減し、キャッシュフローを改善できる。

・企業再生に向けた時間を確保できる。

◆デメリット

・金融機関との信頼関係が悪化する可能性がある。

3.不採算事業の整理

収益を圧迫している事業や資産を見直し、経営効率を改善する方法です。

◆主な手法

・赤字事業の売却や撤退:不採算事業を整理し、黒字化を図る。

・遊休資産の売却:使用していない不動産や設備を売却し、資産を現金化。

◆メリット

・事業の効率化が進み、収益が改善する。

・負債を減らし、財務状況を健全化できる。

◆デメリット

一時的なリストラが必要になることがある。

4.コスト削減と収益向上

経営効率を高め、利益を増やすことで、債務超過を解消する方法です。

◆主な手法

・経費削減:人件費や固定費を見直し、無駄な支出を削減。

・価格戦略の見直し:商品・サービスの価格設定を最適化し、収益性を向上。

◆メリット

・長期的に企業の収益力が向上する。

◆デメリット

・効果が出るまでに時間がかかる。

5.M&Aや事業再生スキームの活用

他社との合併や事業再生スキームを活用し、企業の財務状況を改善する方法です。

◆主な手法

・M&A(合併・買収):他社と統合し、財務基盤を強化。

・会社分割:事業の一部を別会社化し、資本構成を見直す。

◆メリット

企業の存続が可能となり、財務改善が進む。

◆デメリット

企業の独立性が失われる可能性がある。

4. まとめ

債務超過は企業経営にとって深刻な問題ですが、適切な対策を講じることで解消することが可能です。

早めの対応が重要であり、経営者は財務状況を常に把握し、健全な経営を目指しましょう。

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この記事を書いた人

北澤 拓実のアバター 北澤 拓実 製造業収益改善パートナー

中学生のころからいつか製造業の社長になりたいと志し、地元の工業高校に入学いたしました。
卒業後は半導体製造企業を経て、事業再生コンサルタントとして実績を積み、製造業の収益改善に携わっております。
製造業を元気にすることで日本全体を強く元気にすることを目指しています。

RYOPON株式会社 代表取締役・RYOPON行政書士事務所 所長

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